CoC向けオリジナルシナリオ
「死神に花束を」

シナリオ内容とシナリオ製作の背景などです。
楽しんでいただけましたら幸いです。




~目次~







事前情報


想定人数:1~4人
推奨技能:目星、英語
傾向  :戦闘なし、クローズド、ロストあり、ややひらめきが必要


~このシナリオの読み方~
「※」→KP情報、シナリオ背景など。
「SANc」→SAN値チェック。成功/失敗という風に値を書いています。
「---」→ここで挟まれた部分はそのまま共有メモとかに貼れるように書いたつもりです。



背景


探索者たちは事故に遭い、生死不明となる。
死神がその魂を預かって狩ろうとしたところ、仕事道具(鎌)のメンテが必要だったので外出。
その間に探索者たちが目覚める。
ユーモア好きな死神をジョークで満足させられれば、生きた状態で現実世界に返帰ることができる。







棺桶の中


探索者は目を覚ます。――目を覚ましたはずである。
しかしあなたの目の前に広がるのは、眠っていたときとなんら変わりない真っ黒な暗闇。
探索者は仰向けに寝かされており、腕を伸ばす、寝返りを打つ、起き上がろうとするなど行動をとると、逐一なにか壁のようなものにぶつかり行動を阻まれる。
横になったまま、真っ暗闇で身動き一つできない。意味不明な恐怖の状況にSANc1/1d3。

※探索者たちは1人ずつ別々の棺桶で寝かされています。
※棺桶の蓋は封じられておらず、上部に腕を伸ばす、天井の部分を押すなどすると棺桶は開きます。恐怖を煽るため初回だけは蓋が動かないというのもありです。

一番最初に棺桶から出た探索者は、自分が閉じ込められていたのが棺桶の中だったを知ったあと、以下のような部屋の光景を見る。

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【棺桶の部屋】
部屋はひんやりと冷たく、壁も床も無機質なコンクリートでできている。
計〇つの棺桶が等間隔に並べられている。
窓はない。とある壁に背丈以上はあるだろう大きな鎌が立てかけられている。
片隅に閉ざされたドアがある。
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※◯は探索者の人数分

他の棺桶から音や助けを求める声などがあった場合は、他の探索者が棺桶から出るのを手助けすることが可能。



~探索情報~

◆部屋全体に目星、よく見て回る、〇番目の棺桶をよく見る
→棺桶の近くにメモが1枚落ちている。

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【棺桶の部屋のメモ】
ここでの振る舞いは自分に還る
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◆大きな鎌
背丈以上ある大きな鎌。
・目星
 →非常に使い込まれており、刃こぼれしている。
・その他技能向けおまけ情報(歴史とかオカルトとか)
 →非常に古い代物。100年や200年というレベルではない。
  その上で現役の道具である。
 →いわゆる「死神の鎌」としてイメージされるそのものの形。

※ここが死神の仕事場であることの暗示です。


◆棺桶
すべて真っ黒、同じ型の棺桶。
・目星
 →細かい傷などがあり、まるで何度も使われているかのよう。
・その他技能向けおまけ情報(歴史とかオカルトとか)
 →非常に古い代物。100年や200年というレベルではない。


◆閉ざされたドア
重厚な鉄のドア。
・目星
 →鍵穴などはない。
・聞き耳
 →特に何も聞こえない。


◆ここに来る前のことを思い出そうとする
 →非常に記憶が曖昧。何も思い出せない。







死神の居間


棺桶の部屋のドアを開けると、そこから先に広がっていたのはどこか生活感のある風景だった。
狭い部屋の中に暖炉やテーブル、コートハンガーなどが置いてあり、まるで一人暮らしのリビングのような印象を受ける。

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【居間?】
やや広めの、どことなく洋風の部屋。
テーブルと1つの椅子、テーブルの側にコートハンガー、とある壁に暖炉。
窓はない。暖炉とは別の壁に扉が2つある。
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※この部屋には、「私室」「仕事部屋」「花畑」につながる3つのドアがあります。
 PCたちが出てきたのは「仕事部屋」の扉です。


◆テーブル
やや小さい。一人で使う用のように見える。
テーブルの上には手帳らしきものが置いてあり、新聞が広げてある。


◆テーブルの手帳
分厚い。よく分からない材質の革。
 →知識/2、歴史/2、生物学
人間の皮です。SANc0/1

・手帳に図書館、目星、パラパラめくる
 →最新のページが出てくる。
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【手帳のメモ】
〇月〇日 本日の予定
・男性〇名、女性〇名 死因:事故死

鎌の切れ味が悪い。
仕事前に研磨剤を購入してくること。
外出の間はいつも通り仕事部屋に死者を保管しておく。
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〇の部分は今日の日付、文章は探索者たちの人数と性別に合わせる。

 →アイデア
自分が事故に遭ったことを思い出す。


◆テーブルの新聞
半分まで記事が埋まっており、残り半分は白紙。
まるで途中で印刷をやめたかのような新聞。

・内容
→「○○で事故が発生。○○歳の◯性が◯名、◯◯歳の◯性が◯名死亡」
ほか、事故の詳細までが新聞に書かれている。

 →アイデア
自分が事故に遭ったことを思い出す。
この新聞の内容の事故は自分が遭った事故とそっくり同じ。
もしかして自分は死んでいる? SANc1d3/1d6


◆コートハンガー
何も掛かっていない。
・目星orアイデア
 →非常に長い服がかけられそうだ。

※死神がローブをかけているコートハンガーです。


◆暖炉
火はついていないが、熱を持っている。
・アイデア
 →誰かがこの部屋を出ていったばかりなのでは?


◆扉1「Private」→死神の私室
茶色い木の質素な扉。
・目星
 →鍵のない扉。
・聞き耳
 →特になにも聞こえない。


◆扉2「rest in」→花畑
真っ白でどこか神秘的な扉。
・目星
 →とっても綺麗。傷一つない。
・聞き耳
 →花の匂いがする。


◆出てきた扉「Workroom」→棺桶の部屋
頑丈な鉄の扉。
外に大きな南京錠があり、それで鍵を管理しているらしいことが分かる。
南京錠は開いた状態であるため出て来ることができた。







死神の私室


開くとそこは、非常に素朴で温かみすら感じる内装。
壁一面にぎっしりと本棚が詰め込まれており、片隅には小さな机と安楽椅子がある。


◆本棚
とんでもない蔵書量。
(※全部死神の趣味の読書です)

・目星
 →小説などの作り話が多い。
  ファンタジーからコメディ、推理小説などジャンルも時代も様々。
  (クリティカルしたら300年前の原書とかが出てくるのもあり)
・図書館
 →帯のついた本を見つける。かなり古い英語のコメディ小説。
  本を開くと、手書きのメモが出て来る。
  メモは以下のような内容。
  ※死神が本を読みながら「このダジャレ面白いな」と思ってメモしたものです。

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“Did you hear about the guy whose whole left side was cut off?
He’s all right now.”

“Seven days without water makes one weak.”

”What's the worst thing about throwing a planet in space?
You have to planet.”
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・英語に成功で以下の翻訳
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"左半身を切り取られた男のことを知ってますか。今ではもう大丈夫(右だけ)です。"

"水を7日間飲まないと人は衰弱する(1週間になる)。"

"宇宙でパーティをすると1番嫌なことは何?
企画しなきゃいけない。"
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・翻訳までした上でアイデア
→英語圏のダジャレであることに気がつく。


◆安楽椅子
非常に座り心地良さそう。
・目星、よく見る
 →安楽椅子の背中に以下のようなメモが貼り付けてある。

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***から墓場まで
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***という部分は塗りつぶされていて読めない。

・アイデア/2、知識/2、英語/2、またはリアルINT
 →「ゆりかごから墓場まで」というイギリスで流行ったスローガンがあることを思い出す。

(※WW2後に、イギリスの政策の方針として掲げられたスローガンです。
 「ゆりかご」言葉以外には特にこのシナリオに置いて意味はありません。
 ハーフのPCやイギリス出身のPCにはさらに補正を与えても良いと思います)


◆籠に入った本
(※『かご』であるということをPLにそれとなく暗示するため、一番最初は"バスケット"ではなく"かご"という言葉で表現した方が良いかも)
籠、というのはいわゆる果物などが入るようなバスケットのこと。
バスケットの中に1冊本が入っている。

・バスケットの中の本
英語の本。
英語に成功で、コメディ小説だと分かる。

・本を取り上げると、本の下(籠の中)にメモが1枚置かれている。


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【籠の中のメモ】
死神というのは意外とユーモラスな奴で、上手いことが言える人間には融通を利かせてくれたりもする。
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花畑


扉を開くと、突然むわりと広がる花の香り、そして爽やかな風。
あなたの目の前には、見渡す限り白い花ばかりの花畑が広がった。
扉から近いところに祭壇のようなものが見える。

(扉から花畑に戻っても、扉はそこにあり続けます(戻ることが可能です)。
 花畑から扉を見ると、そこに見えるはずの建物の壁などはなく、扉だけがポツンとそこに存在しています。
 ドラ◯もんのどこで◯ドアが花畑にあるような状態です)


◆祭壇
祭壇のようなものに近づくと、それが葬式などで用いられる献花台であることに気づく。
白い布が被せられた献花台にはなにも置かれていない。
献花台には一つの遺影が置かれている。
その遺影の中で微笑んでいるのは、その献花台を目撃した探索者その人である。
 →非現実世界で遭遇した、まるで自分が死んでいるかのような扱い。SANc0/1

・目星、詳しく調べる
 →遺影の下部分の縁に以下のような文字が刻まれている。

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花を捧げよ。お前がお前に捧げる花を。
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遺影は見るものによって写真が異なる。
(探索者Aが見れば探索者Aの写真が、探索者Bが見れば探索者Bの写真が使われた遺影に見える)
同じ遺影を見ているはずなのに異なるものを見ている、と気づいた場合、さらにSANc0/1。


◆花畑
見渡す限り広がる真っ白な花畑。
・花をよく見る、目星
 →咲いている花が白い菊もしくは白百合であることが分かる。



ED分岐


※探索者それぞれで違う花を祭壇に捧げた場合は、探索者毎に分岐に従った描写をします。

◆祭壇に白い花(菊のみ、百合のみ、または両方)を捧げる【BAD】
あなたがその花を祭壇に捧げた途端、突然視界が暗くなる。
いつの間にか空が真っ黒な雲で埋め尽くされ、びゅうびゅうと冷たい風が吹き始めた。
そしていつの間にかあなたの目の前に、長く黒いローブを揺らし、背丈ほどの大きさの鎌を握った存在が現れる。
「自分で自分に献花するなんて、殊勝なやつだ。せめて苦しまないようにしてやろう……」
それと同時に、その存在は鎌を振りかざす。そこであなたの意識はぶつりと途切れた。

――あなたの意識は突然病院のベッドの上に投げ出される。あなたは身動き一つできない。
身体に繋がれたたくさんの管。あなたの周りで奔走する医師たち。
その気配を感じながら、あなたの意識はじわじわと暗闇に飲まれていく。
あなたはふと理解するだろう。
あなたは自分に白い花を献花し、自分自身の死を認めてしまったのだと。
後悔する間もなく、あなたの意識は暗闇に沈んでいき……。

→ロスト


↓以下は死神の私室にあったバスケットを使用するルートです↓

◆祭壇に籠のみor菊の入った籠を捧げる【BAD】
あなたがその花を祭壇に捧げた途端、突然視界が暗くなる。
いつの間にか空が真っ黒な雲で埋め尽くされ、びゅうびゅうと冷たい風が吹き始めた。
そしていつの間にかあなたの目の前に、長く黒いローブを揺らし、背丈ほどの大きさの鎌を握った存在が現れる。
「わざわざ人のものを持ち出して、面白いことも言えないなんてな」
その声はどこか呆れているようでもあった。
それと同時に、その存在は鎌を振りかざす。そこであなたの意識はぶつりと途切れた。

――あなたの意識は突然病院のベッドの上に投げ出される。あなたは身動き一つできない。
身体に繋がれたたくさんの管。あなたの周りで奔走する医師たち。
その気配を感じながら、あなたの意識はじわじわと暗闇に飲まれていく。
あなたはふと理解するだろう。
あなたは自分に白い花を献花し、自分自身の死を認めてしまったのだと。
後悔する間もなく、あなたの意識は暗闇に沈んでいき……。

→ロスト


◆祭壇に百合の入った籠を捧げる【TRUE】
あなたがその花を祭壇に捧げた途端、突然視界が明るくなった。
空を覆い尽くす真っ白な光、温かい風が突然吹きすさぶ。
そしていつの間にかあなたの目の前に、長く黒いローブを揺らし、背丈ほどの大きさの鎌を握った存在が現れた。
「なるほど、面白い。最近の人間のセンスも悪くないな」
その声はどこか楽しそうでもあった。
「気が向いた。お前の望む方へ送ってやろう」
それと同時に、その存在は手を動かす。そこであなたの意識はぶつりと途切れた。

――あなたの意識は突然病院のベッドの上に投げ出される。
身体に繋がれたたくさんの管。あなたの周りで奔走する医師たち。
その気配を感じながら、あなたは次第にはっきりと意識が覚醒する。
覚醒したあなたに気づいた周囲の人間が気遣わしげに声をかける中、あなたはふと枕元にまるでお見舞いのように置かれた小さな花籠に気づく。
そこには可愛らしいラッパスイセンの花。そしてそのラッパスイセンは、揺り籠を模した可愛らしい籠に飾られていた。

→生還



夢の中のお話として扱い、ロストなしにしても大丈夫です。
ただしその場合は、BADENDだった場合に死神に肉体を分断される描写を入れ、目が覚めた後にSANc1d10/1d20とかを入れちゃってください。
(シナリオ的にSANの減りどころが少ないので、最後でガッツリ削らないときっと拍子抜け)

※「百合」+「かご」→「ゆり」「かご」→「揺り籠」
 死者のくせにダジャレが言えて、しかも生の証である揺り籠を捧げるなんてシャレが効いてるじゃないか! という完全なる死神のさじ加減です。



報酬

◆SAN値回復
生還 1d6
百合を籠に入れることに気づいたPC 1d3

減りどころが少ないので回復値も低めです。
この値もご自由に調整ください。



シナリオ製作の背景


最初は「人生棺桶生活」というタイトルから、「棺桶から始まるシナリオを書きたい」という動機だったのですが、いざ骨組みを考えてみたらさっぱり棺桶が出てこなかったので慌ててタイトルの方を変えました。
こちらで企画を立てましたが、初回から早速タイトル無視という神話生物をも恐れぬ所業です。

神話生物の出てこないおとぎ話系クローズドに多く混ぜてもらっていまして、そういう不思議世界書きたいなぁと思って作りました。
ただしその分神話生物を上手に扱えないので、今後も沢山勉強していきてぇなぁ……と思っています。

このシナリオでは「『ゆりかご』というダジャレを死者に捧げることがユニークと捉えてもらえるか」というPLの理解が最大の壁のような気がします……。

なんにせよ、「死神はダジャレ好き」というところを上手に使って、PLを誘導していただけたらなと思います。


「rest in」は「rest in peace」です。お友達に案を頂きましたorzありがとう!
タイトルの語感は「アルジャーノンに花束を」的なあれで一つ。