CoC向けオリジナルシナリオ
「うちの勇者をよろしく」

クトゥルフでRPGができます。
クトゥルフでやる必要ある? ない!

シナリオ内容とシナリオ製作の背景などです。
楽しんでいただけましたら幸いです。

※6/21 一部文章を修正しました。





~目次~
  1. 事前情報
  2. 配役の決め方
  3. 導入:友達の弟のお見舞い
  4. 導入:涼平の病室
  5. 魔王城
  6. 石造りの間
  7. 図書館(知恵の間)
  8. 玉座の間
  9. 勇者の像の間(愚者の間)
  10. 魔王の部屋
  11. 祭壇の間
  12. ED分岐
  13. 報酬
  14. 製作背景とか裏話







事前情報


ちょっと長めのクローズド。じーんとできる話を目指しました。若干のPvP要素があります。ロストはありませんが、BADENDだとSANがガリッといきます。

チートになって俺カッケェェ! な茶番がたっぷりできる内容になっています。
これクトゥルフでやる必要ある? ない!

情報や描写がムダに多いため、GMさんは苦労するかもしれません。
セッション前にシナリオに出てくる技能をすべてチャパレ化しておくことをオススメします。

推奨技能:目星、図書館

◆KP情報

戦闘ありのシナリオですが、戦闘技能がなくてもクリアできるように強めに補正をかけています。

SANc結構多いです。減る値は多くないですが、積み重なると結構減ります。

憎み合っている、倫理観の薄い探索者よりも、仲良しの継続探索者同士の方がドラマチックな展開をするかもしれません。
少なくとも人間を殺すことに抵抗のない探索者だと一瞬で終了します。

最低2人必須です。そして2人だけだと恐らくしんどいです。



配役の決め方


◆配役の決め方
  • 勇者…余った探索者(ごめん)。
  • 魔王…POWが最も高い探索者。

勇者役と魔王役は必須になります。
以下の配役は3人以上だった場合のおまけ配役です。

  • 魔法使い…MPが高い探索者
  • 狩人…技能:弓を持つ探索者。

などなど、その他ファンタジーRPGに出そうなキャラクターであればなんでもOKです。
探索者の技能に合わせて、回復係である神官役や剣士役、格闘家役、ガンナー役等出しても良いと思います。


◆それぞれの見た目の例

・勇者
 銀の胸当てに鉄鋼、脛当てといった装備。よく靡く真っ赤なマントに、宝石のきらめく額飾りをつけている。見るからに勇者っぽい感じがする。
 ※最初は剣は持っていません。

・魔王
 足元まで届く漆黒のマントに、同じく真っ黒だが質の良さそうな服。頭には2本角が生えている。見るからに魔王っぽい感じがする。
 ※角には神経が通っており、抜こうとすると痛い。

・魔法使い
 黒いフード付きのローブに身を包み、片手に木で出来た背丈ほどの杖を握っている。見るからに魔法使いっぽい感じがする。

・狩人
 革の胸当てに革のブーツ。片手に木で出来た弓を握っており、背中に矢筒を背負っている。見るからに狩人っぽい感じがする。

その他理想があればご自由に改変し、心ゆくまで描写してください。







導入:友達の弟のお見舞い


探索者たちは親しい友人同士。
また探索者のうち少なくとも一人が、NPCである「千茅航平(ちがやこうへい)」と友人である。

ある日探索者のうちの1人が、友人である「千茅航平(ちがや こうへい)」から連絡を受ける。

※千茅航平は普通のしょっぱい社会人です。
 探索者が学生だったりする場合は、年齢や立場をご自由に調整して合わせてください。

「実は今週末、うちの弟の見舞いに行く予定だったんだけど、週末出張が入っちゃって……」
「家族も誰も都合がつかなくてさ。着替えとかも持っていく予定だったから、その日だけはどうしても行かないといけないんだ」
「もしよければ、俺の代わりに弟の見舞いに行ってくれないかな」

◆アイデアを振らせる
 →千茅航平の弟について知っている。
 弟の名前は「千茅涼平(ちがや りょうへい)」。心臓病を患っており、小さい頃から入退院を繰り返している。年齢は10歳。
 →クリティカル:ゲーム好きな少年である。

探索者が了承すると、航平は少し気まずそうに続ける。
「……涼平のやつ、入院が長くて全然他の人と会う機会がないんだ。それでちょっとふさぎがちでさ。もしよければ、お前の友達も連れて行って会ってやってくれないかな」
「手術も近いから、気分転換させてやりたいんだよ」

・手術?
→「そう……来月手術の予定があって、その手術に成功するとあいつの病気治るんだって」
 「ただ、涼平は受けるの渋っててさ……。それで最近家族とも話さなくなっちゃって」

見舞いに行くことを引き受けると、航平はいたく感謝し、見舞いに持っていく品を次の日渡しに来てくれる。この時涼平のいる病院・病棟・病室も教えられる。
そして週末、航平に声をかけられた探索者は、他の探索者たちと共に「千茅涼平」のお見舞いに向かう。



涼平の病室


週末探索者たちは見舞いのために病院を訪れる。
千茅涼平が入院しているのは循環器外科の入院棟。
受付には航平が話を通しているため、スムーズに病室まで入ることができる。


【涼平の病室】
涼平の病室は少し狭いが個室。
病室の隅にはカラーボックスがあり、教科書やノート、そして詰め込まれたゲーム機が見える。
壁には千羽鶴や色紙などがかけてあり、その数を見るに、彼がかなり長い間入院していることが察せるだろう。

千茅涼平はベッドで身体を起こし、黙々と携帯ゲーム機を操作している。
入室してきた探索者たちをちらっと見るが、すぐに無視してゲームを続ける。

※千茅涼平はつれない態度ですが、心を開くと態度が軟化します。懐いた人にはツンデレです。
 涼平は今までも兄の友達が訪ねてきたことがあるため、探索者たちを『手術を受けるよう説得しにきた人』と捉えています。
 涼平自身は手術を受けたくないため、説得のために来る人たちを拒絶しています。


◆涼平との会話(探索者たちの質問例→涼平の答え)
・「こんにちは」など挨拶
 →「…………」
むすっとして反応しない。ゲームを続ける。
・「手術が近いって聞いたよ」
 →「……お兄さんたち(お姉さんたち)には関係ないじゃん」
先程より明らかに機嫌が悪くなる。

・涼平から無理矢理ゲーム機を取り上げる
 →ヒステリー状態で「返せよ!」暴れだし、それでも返さなければナースコールを連打する。
  現れたナースは興奮状態の涼平を見て慌て、探索者たちからゲーム機を返してもらうと、すぐに探索者たちを病室から追い出す。
  追い出された探索者たちは、廊下で「心臓に病を抱えている患者さんを興奮させるなんて何を考えてるんですか!」とナースに叱責される。


涼平は基本的にはすげない態度。
ゲームのことを話題に出すことで、心を開いてくれる。

・「ゲーム好きなの?」
 →「……好きっていうか、他にやることないから」
・「それ何のゲーム?」
 →「どうせ分からないと思うよ」
と言いながらも、ゲーム画面を見せてくれる。

涼平が見せてきたゲーム画面は、ファンタジー系のRPGのよう。
・アイデア、知識に成功
 →ロングセラーのシリーズものRPG『Brave Blade』の最新作であることが分かる。
 →クリティカル:最新作のラスボス面である魔王城の画面だと判別がつく。

魔王城であるという情報は、クリティカルせずとも涼平に聞けば教えてくれる。

・『Brabe Blade』についてググる(図書館orコンピュータ)
 →武器を進化させるシステムと、古き良きファンタジーの世界観に定評があり、安定した人気を誇っている。
  シリーズに共通する『勇者になって魔王を倒す』というシンプルだが奥の深いストーリーも人気の秘訣。

※ゲーム好き探索者にはアイデア成功と同時に↑の情報を与えてもOKです。
 幸運成功で自分もプレイしたことあるとかも可。


『Brave Blade』好きなの? と具体的にゲームの名前を出されると、途端に涼平の目が輝き始める。

「お兄さんたちも『BB』知ってるの?」
「俺色んなゲームしてるけど、やっぱり『BB』が一番いい出来だなって思ってるんだ」
「俺本当に『BB』が好きで。これをクリアするまで他のことはしないって決めてる」


・他のこと?
 →「……このゲームクリアするまで、手術は受けないって決めてるんだ」
  「お兄さんたちも、どうせ兄貴に頼まれて俺に手術受けるよう説得しに来たんでしょ」
  「今度受ける手術って、成功率が60%なんだって。でもそれって、40%の確率で死んじゃうってことなんだろ。……そんなのやだよ。俺そんなの怖いよ……」


「でもこのゲーム変なんだ。条件満たしてるはずなのにラスボス専用の武器が出てこなくて。ちゃんと攻略も見たんだけど……。今使ってる武器だとラスボスが倒せないんだ」
と言いながら、お兄さんたちもやってみる? とゲーム機を差し出してくる。

・ゲーム機を借りてプレイ
 →とあるマップの空間移動が明らかにおかしく、同じ場所をぐるぐる巡ってしまう。
  (ゲームで主人公の持ち物を見ると、『でんせつの剣』を使用していることが分かる)

・ゲームにアイデア、コンピュータ
 →ゲームにバグが発生してしまったのではないか。

そのことを伝えると、「そっか」と涼平は複雑そうな、それでいて安心したような表情を浮かべる。

※クリアしないと手術を受けない、と決めているため、クリアできないことが確定して少し安堵しています。


その他涼平と雑談すると、『BB』について以下のように教えてくれる。
・主人公は勇者である。
・その他魔法使いや弓使いも仲間にできる。
・とある条件を満たすと魔王も仲間にできるらしい。涼平は試したことがない。

ゲーム以外の話を振ると、学校については「行きたいけど行けない。諦めてる」と言い、手術について話をするとまたむすっとして黙り込んでしまう。
家族ともケンカ中なので、家族の話題を出しても黙る。

ある程度涼平と話したところで看護師が姿を現し、「すみません、涼平くん検査の時間で……」と探索者たちの退出を促す。
ゲームの話をある程度した後だった場合、涼平はまた来てほしそうに探索者たちを見送る。







魔王城


その日各々の家でいつも通り眠りにつく探索者たち。
そして探索者達は、いつもとは違う寝床の感覚によって目が覚める。

勇者役の探索者のみ目覚める直前、このような声が聞こえる。
「よくぞここまで魔王城を攻略した! あとは魔王の部屋を見つけ出し、魔王を討つのみだ!」

目覚めると探索者達は、石造りの床の上で横になっていた。
周囲には昼一緒に涼平のお見舞いに行ったメンバーが自分と同じように目覚めている。
そして探索者達はすぐに、自分達の服装の違和感に気がつくだろう。

探索者達は普段着ではなく、どこか時代錯誤のような、民族衣装のような……。
いうなれば、ファンタジーRPGに出てくる登場人物のような服と装備を身に着けていた!

★配役の決め方こちら
★見た目の例こちら

一通り混乱したところで、SANc1/1d3。

これ以降、魔王役は勇者役ではない探索者からはどんな攻撃を受けてもダメージ0です。
(魔物や神話生物からのダメージは入ります)
勇者役が魔王を攻撃する時は自動で最大ダメージが入ります。


◆周辺を見回す、探索しようとする

など行動を起こそうとしたところで、探索者たちは背後から低い唸り声を聞く。
振り向けばそこにいたのは――見たことのない生物。
ライオンの頭と山羊の胴体、そして蛇の尻尾を持つその生き物は、広げれば4メートルに達するだろう黒い翼まで生やしていた。

正体不明の生物は、太い牙をむき出しにして探索者たちに明らかな敵意を示す。
SANc0/1d3の後戦闘開始。


★特別技能★

戦闘開始とともに、探索者全員に回避技能に+20の補正を与える。
更に探索者たちに以下の特別技能を与える。
回避技能の補正と特別技能はこのシナリオの間有効。

探索者たちはこれらの技能が『突然頭に浮かび、何故か使いこなせるという確信を得る』。

勇者
・回復の光(70%)…回復魔法。MPを1消費することで対象のHPを1+1d3回復する。この技能は精神分析と同じ効果も兼ね備える。
 (応急手当or医学を持っている探索者の場合、上限値を90として、応急手当or医学に20足した値を「回復の光」の技能値とする。
 応急手当or医学に20足した値が70未満だった場合は70で与えても良い。

 例:応急手当60%を持つ探索者→60+20=80で回復の光80%を与える。
   医学30%を持つ探索者→30+20=50なので、医学の値は無視して回復の光70%を与えて良い)

魔王
・暗黒の波動(85%)…攻撃魔法。MPとSANを1消費することで、対象に1d10+2のダメージを与える。
・服従命令(90%)…SANを1消費することで、魔物に対して犬にするレベルの命令を下せる。人間に使用した場合命令はできないが、精神分析と同様の効果を得る。

※SANが減る機会が微妙に多いため、救済措置として精神分析効果を与えています。

魔法使い
・ファイヤーボール(70%)…攻撃魔法。MPを1消費することで、対象に1d6+1d3のダメージを与える。
・ウォーターシュート(70%)…攻撃魔法。MPを1消費することで、対象に1d6+1d3のダメージを与える。

狩人
・ホーミングアロー(60%)…追尾する矢による回避不可攻撃。対象に1d6+1のダメージを与える。
 (技能:弓を持っている探索者の場合、上限値を90として、技能:弓に20足した値を「ホーミングアロー」の技能値とする。
 技能:弓に20足した値が60未満だった場合は60で与えても良い。

 例:弓75%を持つ探索者→75+20=95なので、ホーミングアロー上限値90%を与える。
   弓30%を持つ探索者→30+20=50なので、弓の値は無視してホーミングアロー60%を与えて良い)

※もし配役に神官などの回復職がいる場合は、その人に「回復の光」を与えてください。
 その場合勇者は特別技能なしです。


【キマイラ】
※るるぶのライオンのステの大体最大値を持ってきています。
 書いた人間が戦闘にあまり慣れていないためご随意に調整ください。

STR 24 CON 18 SIZ 24 POW 18 DEX 2d6+10
HP 20
DB 1d6
・噛みつき 40% ダメージ1d6
・かぎ爪 60% ダメージ 1d3+DB


◆キマイラのHPを0にした場合
ずしん、と音を響かせて石の床に倒れた怪物は、みるみるうちに砂を崩すように端から形を失い消えていく。

それと同時に勇者役の頭のなかに以下の声が響く。
「よくぞ守護者を倒した! さあ、聖なる剣をとれ!」

その声の後、先程まで怪物がいたはずの場所には、一振りの剣が転がっていた。


◆キマイラを魔王役の「服従命令」で大人しくさせた場合
キマイラは魔王の姿をした探索者の前に跪き、まるで主人を崇めるように頭を低くする。

それと同時に魔王役の頭のなかに以下の声が響く。
「魔王さまとはいざしらず、大変なご無礼をお許し下さい。
 さあ、これが私が封印していた、あの憎き勇者の剣です。どうぞお取りください」

そう言葉が終わった後、怪物はみるみるうちに砂を崩すように端から形を失い消えていく。
先程まで怪物がいたはずの場所には、一振りの剣が転がっていた。


◆戦闘終了後にアイデアを振らせる
 →痛みや身体の感覚はリアルなものだった。
  この空間での怪我やダメージは現実のものなのでは? と思う。

※ここで死んだらマジで死ぬしここで殺したらマジで死ぬよという暗示です。


◆キマイラの残した剣
刃は白銀に輝き、美しい金の柄には見事な装飾が彫り込まれている。

・勇者役or魔王役ではない探索者が持ち上げようとする
 →重くてとてもではないが持ち上げられない。

・魔王役の探索者が触ろうとする
 →バチッ! と静電気のようなものが迸り、触れない。
  無理に触り続けようとするとHPが減少する。

・勇者役の探索者が持ち上げようとする
 →簡単に持ち上がる。思っていたよりも軽い。
  直感的に、これは『でんせつの剣』であるということが分かる。

※『でんせつの剣』という名前の武器です。

『でんせつの剣』を手に入れると共に、勇者役に以下の特別技能を与える。

・聖なる剣撃(85%)…攻撃。MPとSANを1消費することで、対象に1d8+dbのダメージを与える。

※「聖なる剣撃」を魔王役に使用した場合、自動で最大ダメ(=8+db)入ります。
 (杖などの刃物系技能を持っている探索者の場合、上限値を90として、技能に20足した値を「聖なる剣撃」の技能値とする。
 技能に20足した値が85未満だった場合は85で与えても良い)


◆このような世界観の物語などがないかアイデア
 →まるでファンタジーのRPGっぽい。
 →クリティカル:『BB』の最新作がこんな雰囲気だった気がする。

探索者から「この世界は『BB』に似ているか」と質問があった場合は、アイデア成功で隅々までイメージまたは記憶の通りだと答えてOKです。
自分たちが『BB』の世界に放り込まれてしまったのだと悟った場合、SANc0/1。







石造りの間


キマイラを倒した後探索者たちが改めて空間を見渡すと、そこは広く、天井も高い場所であると分かる。
探索者達の声は重く響き、どこか緊張感を感じさせる厳かな空間。

壁には不思議な色に揺らめく燭台がかけてあり、空間は適度な明るさが保たれている。

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【石造りの間】
壁から床に至るまですべて石で作られている。
非常に広い空間であり、東西南北の壁それぞれに扉が1つずつある(扉は計4つ)。
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~探索情報~

※祭壇の間の扉を除き、扉に聞き耳しても何も聞こえません。


◆北の壁の扉 (→玉座の間)
天井にまで届くであろう非常に大きな観音開き。
大理石にも思える扉の横幅はゆうに10メートルを超えており、人力では開きそうにない。

・目星、壁をよく見る
 →扉の横の壁に、子供の書いたような字で以下の言葉が刻まれている。

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魔王を倒して、元の平和な世界に戻ろう
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・開こうとする
 →びくともしない。

※勇者役が剣を掲げると自動で開きます。
 (ヒントは図書館で発見可能)


◆東の扉 (→図書館)
少し大きいがシンプルな木の扉。
扉の上部に『知恵の間』と掲げてある。

・目星、壁をよく見る
 →扉の横の壁に、子供の書いたような字で以下の言葉が刻まれている。

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勇気は剣、知恵は魔法
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※最後に出てくる『勇者の勇気』とは『ゆうしゃの剣』であるという暗示です。

・開こうとする
 →鍵はかかっておらず、開く。


◆南の扉 (→祭壇の間)
観音開きの厳かで真っ赤な扉。金の装飾が施されている。
扉の上部に『祭壇の間』と掲げてある。

・目星、壁をよく見る
 →扉の横の壁に、子供の書いたような字で以下の言葉が刻まれている。

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成長するのは人だけではない
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・聞き耳
 →中で何かが動いているような音がする。

・開こうとする
 →鍵はかかっておらず、開く。


◆西の扉 (→勇者の像の間)
石の扉。非常にぞんざいに作られている感じがする。
扉の上部に『愚者の間』と掲げてある。

・目星、壁をよく見る
 →扉の横の壁に、子供の書いたような字で以下の言葉が刻まれている。

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魔王は勇者にしか倒せない
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・開こうとする
 →鍵はかかっておらず、開く。


◆燭台
太いろうそくに、紫や白、水色など次々と色を変える炎が揺らめいている。

・炎に触ろうとする
 →温度を感じない。

・燭台を壁から取ろうとする
 →壁と一体化しており取れない。

※ゲーム世界であることの地味な暗示です。







図書館(知恵の間)


扉を開くと、視界に広がったのは一面の本棚。
途方に暮れるほど大量の本棚が並び、その全てにぎっしりと本が詰まっている。
いわゆる図書館のような空間。
本棚ごとに「○○」の棚、と分類らしきプレートがかかっている。

※ゲーム世界の本棚なので、技能:図書館or目星で出てくる以外の本は本棚から抜けません。
 この空間には本棚が複数あり、技能:図書館or目星を複数回使えます。

本棚一覧
・世界のしくみ
・進化のしくみ
・魔王城について
・儀式について
・魔族について
・愚者について
・強さについて
・***について


◆図書館、本棚に目星
 →他の本とは違い、本棚から抜き出せる本が見つかる。
 本を開くとほとんどは見知らぬ言語で読めないが、数行ほど日本語で記されている部分がある。

※6/21 赤太字部分を修正しました。

・「世界のしくみ」の棚
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「ドロップアイテム:
 モンスターを倒した際に手に入るアイテム。
 レア度はモンスターそのもののレア度に依存することが多い。
 多くは武器などを強化するための素材アイテムである」
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・「進化のしくみ」の棚
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「強さの証を捧げることで、武器はさらに進化し、強くなる。
 強さの証とは例えば、魔物の心臓や精霊の涙など、手に入れることが困難なアイテムのことである。
 強さの証を捧げ武器を進化させる場合、1つのアイテムにつき1つの対応する呪文が存在する
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・「魔王城について」の棚
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「魔王のおわす玉座の間の扉は、この魔王城で最も大きい。
 玉座への扉は、聖なる剣を掲げることで開かれる」
「魔王の城は広大で、未だ暴かれていない空間も存在するという」
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・「儀式について」の棚
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「供物の儀の方法:
 祭壇の中央に供物を捧げる対象を配置し、その手前に皿を置き、
 その皿に供物を置く。高度な儀の場合、儀式の呪文を唱える際に魔力が必要となる。
 供物の儀は主に貴重な品の保護や強化のために古代から用いられてきた方法である。」
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ここから先の本棚は作りが複雑になっている。
目星-20または図書館-20に成功で、以下の情報を公開。


・「魔族について」の棚
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魔王の血は魔力で形成されている。
魔王の血を人が摂取すると、たとえ少量であっても魔力を回復させることができる。
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◆MPの回復
 魔王役の血を摂取することで、MPを1d3回復させることが可能。
 魔王役は毎回CON×5の判定を行い、成功で0、失敗で1のHPを減少させる。


・「愚者について」の棚
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「ここ魔王の城には、過去の魔王を討伐した愚かな勇者の像が置かれている。
 その像は主亡き後の魔王城に侵略してきた人間どもが勝手に配置したものであるが、
 何か結界のようなものが施されており、次代の魔王の力を持ってしてもその像を排除することはできなかった。
 非常に忌々しいことである。雨ざらしにし、経年が像を砕くのを待つしかない。」
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・「強さについて」の棚
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「勇気とは様々なものの比喩として使用される言葉である。
 ときには強靭な剣、ときには友を思う涙、ときにはハートそのものを勇気として指し示すこともあるだろう。」
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※ハート=心臓。


・「***について」の棚
本棚のプレートが上から群青の塗料で塗りつぶされている。
塗料は劣化しており、手で払うと簡単に落ちる。
「君について」と書かれたプレートであると分かる。
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【勇者の伝説の本】
過去に魔王を討った勇者の物語。
「人々に崇められた勇敢な青年は、でんせつの剣で魔王を倒しました。
 勇者が討ち倒した魔王の心臓をでんせつの剣に捧げると、剣はみるみる輝きを増し、さいきょうの剣へと変化を遂げました」
---
→この本を読んだ後に幸運を振らせる。
 成功で一番最後のページに手書きの字が書き込まれていることに気づく。

手書きの字:
「どうしてこんなことになってしまったんだろう。お前の眠りは僕が守るよ、永遠に」
掠れ、震えた字で書かれている。

※勇者の像の下に魔王の部屋があることの暗示です。







玉座の間


勇者役が剣を掲げると、重く巨大な大理石の扉は、ゴゴゴゴ……と音を立ててひとりでに開いていく。

開いた先に待っていたのは、非常に凄惨な光景だった。
大理石で作られたその部屋は決して狭くない。
しかしその床一面、そして壁に至るまでが、真っ赤な血で染め上げられていた。
あたかも赤い絨毯の替わりであるかのように、その部屋は鮮血で塗りつぶされていたのだ。
 →凄惨な光景にSANc0/1

空間には中央に1つだけ、背もたれの高い玉座が配置されている。
遠目にもその玉座まで血で染まっていることが分かる。

探索者たちが部屋に足を踏み出すと、ビチャリ、と足元の血溜まりが音を立てる。


◆玉座
背もたれの高い玉座。血で真っ赤に染まっている。

・目星
 →真っ赤になった背もたれの正面に、ナイフで切り裂いたかのように以下の言葉が刻まれている。

---
魔王は倒せば死ぬよ
---

・背もたれの背面を見る
 →以下の言葉が刻まれている。

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魔王を討つ最強の武器を作る呪文をここに記す
これを『さいきょうの呪文』と云う
---
ここから下は意味不明な文字の羅列が続いているが、魔王役以外はその内容が理解できる。
意味不明な文字の羅列は何らかの呪文であり、理解できた探索者はその呪文を口に出せることにも気づく。
知らないはずの言葉を読める、唱えられることにSANc0/1。

※「祭壇の間」で武器を強化する時の呪文です。



勇者の像の間(愚者の間)


そんざいな石の扉を開くと、視界が一段階明るくなる。
そこは確かに石で作られた城の中ではあったが、天井に一部穴が空き、そこから差す自然光が白く爽やかな明るさを空間にもたらしていた。

そしてその天井の穴の真下、まるでスポットライトを受けるかのような位置に、片腕を上げた人型の石像が置いてある。


◆石像
腰の高さほどの台座の上に立っている。
右拳を上に掲げ、左手に盾を携えた凛々しい青年の像。
どことなく勇者役の探索者と似た格好をしている。

魔王役が像に触ろうとすると、勇者役の剣を触ろうとした時と同様にバチッと弾かれて触れない。

・台座を見る
 →台座には「魔王を討った偉大なる勇者の像」と刻まれている。

・像に目星
 →雨に打たれた後があり、表面はやや劣化している。
  また、勇者像の持つ盾に以下のような文字が刻んである。

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魔王を倒す真の武器は、ゆうしゃの勇気
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※ゆうしゃの勇気=ゆうしゃの剣


・一通り調べた後、アイデアを振らせる
 →勇者の像は腰に鞘を下げているが、剣はどこにも持っていない。

アイデアを振った後、または探索者の誰かが勇者像が剣を持っていないことに気づいた時点で、勇者役が持っている剣がにわかに輝き始める。

それと同時に、探索者たちの頭のなかに声が響き始める。
「……憎い、憎い……!」
どこかノイズがかかったようにも聞こえる男性の声。
それは何重にも響き、やがてわんわんと空間の中で反響し始める。

空間が男性の憎しみの声で満たされた頃、勇者像が突然動き始める。
灰色の腕を振り、人間のように滑らかに動き始めた勇者像は、台座の上から探索者たちを石の目で睨みつけた。
「よくも、……を!!」
ひび割れた声で呪詛を唱えながら、勇者像は台座から飛び降り、探索者たちに向かって鈍器とも言える石の腕と盾を振りかざした。

勇者像との戦闘開始。


【勇者の像】
STR 22 CON 18 SIZ 16 POW 18 DEX 16
HP 22
DB 1d4
・こぶし 60% ダメージ1d4+db
・盾で殴る 40% ダメージ 1d6+DB


◆勇者像のHPを0にする
最後の一撃を食らった瞬間、ピシッと勇者像に亀裂が走る。
「憎い、憎い……よくも、……を……!」
曖昧な言葉はどうしても肝心な部分だけが聞き取れない。

(宣言があった場合聞き耳を振らせ、成功した場合は、像が砕ける描写が終わった後に「よくも魔王を」という言葉を聞き取れたと伝える)

身体中に亀裂を走らせた勇者像は次の瞬間、――石の頬にぽろりと涙を零す。
そして瞬く間に勇者像は全身砕け散り、石と砂になってその場に崩れ落ちた。


◆魔王役が服従命令を使用
魔王役探索者からの命令を受けた瞬間、はっと勇者像の表情が変わる。
魔王役の姿を見たかと思うと、突如身体を硬直させ、――ぽろぽろと突然涙をこぼし始めた。
「すまなかった、許してくれ。お前の眠りは僕が守る、永遠に」
その一言を最後に勇者の像はぴたりと動きを止め、何の変哲もない石像に戻ってしまった。


◆勇者像(または砕けた後の石と砂)に目星、よく見る
 →頬に伝った涙のような雫が、水晶のように固まっている。勇者の像の服のくぼみや、床にもいくつかその水晶が散らばっている。
  手に取った探索者は、それが『勇者の涙』と呼ばれるアイテムであると直感的に理解する。


◆勇者像の台座を見る
 →先程まで勇者像の足で隠れていた位置に、押し込めそうなスイッチがある。

・スイッチを押し込む。
 →ゴゴゴゴ……と音を立て、台座が横にスライドする。
  スライドした先には、下っていく階段が現れた。







魔王の部屋


狭い階段を下った先に現れたのは、今までとは打って変わって温かみのある空間だった。
木でできた内装に、テーブルや椅子、そして部屋の片隅にはベッド。
調度品はどことなく高級だが、誰かが生活していた空間なのだろうことが分かる。

---
【誰かの部屋】
テーブルと椅子、本棚、豪華なベッド。
---

◆テーブルと椅子
重そうで豪華な作りだが、誰かによって丁寧に使い込まれているのが分かる。
テーブルの上には蓋のされたインク壺と羽ペン、羊皮紙、便箋が重なっている。

・インク壺
 →群青の綺麗なインク。

・羽ペン
 →真っ黒でつややかな美しい羽。

・羊皮紙
 →十数枚ほどあり、白紙と書きかけのものが入り混じっている。

 →書きかけのものを見てみると、以下のような文面に上からペンでバツがつけてある。
  全て群青のインクで書かれている。

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「こっちは相変わらず寂しいお城だよ。君が来てくれないととっても退屈だ」
「そっちはどうだい? 人間たちはまだ僕を怖がっているのかな。僕も君の友達と会ってみたい」
「この手紙をやりとりしていることが、周りの人にバレていないかい? それで君が辛い思いをするのが僕は一番嫌なんだ」
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※魔王が勇者に送ろうとして、恥ずかしくてやめた手紙たちです。


・便箋
 →空で白紙のものが重なっているが、1つだけ表に『僕の大切な友達へ』と書いてある。
  中には畳まれた羊皮紙が入っている。

  以下中身の手紙の文面。
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「仕方ないことだったんだ。君は勇者で、僕は魔王。
 やっぱりこうなるんだなぁと、心のどこかでは分かってた。
 でも君とここで出会ってからの日々は、僕にとって一番の幸せだった。

 きっとまた会えるよ。僕は君の勇気が大好きなんだ。
 僕もちょっとだけ、君の勇気を真似してみる。
 大丈夫だよ。倒される僕の勇気と、倒す君の勇気が合わされば、どんな奇跡だって起こせるさ。

 僕は、僕を殺したくないと零す君の涙が、君の一番の勇気だって知ってるよ」
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※僕の勇気と君の勇気を合わせる
 →魔王の心臓と勇者の涙を合わせる


◆本棚
天井にまで届く本棚。ぎっしりと古そうな本が詰め込まれている。

※これもゲームの中の本棚なので、図書館または目星で成功したもの以外は抜け出せません。
 ★ここだけ図書館と目星で出てくる情報が違うため、
  行き詰まったらこっそり誘導してあげてください。


・図書館に成功
 →『魔王の伝説の本』が出てくる。

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【魔王の伝説の本】
「臆病な魔王、友達が欲しかった。
 臆病な魔王、城にたどり着けたのは勇者だけ。
 臆病な魔王、友達ができた。
 魔王と勇者、仲良くなった。

 勇敢な勇者、ある日泣いた。
 勇敢な勇者、人里に君がバレたと泣いた。
 勇敢な勇者、君を殺せと言われたと泣いた。
 臆病な魔王、それを聞いて笑った。

 臆病な魔王、討たせてあげると笑った。
 君ならいいよ。君は友達だから。

 臆病な魔王はどこにもいない。
 勇敢な魔王が勇者に斬られて死んだだけ。
 君に友達を殺させてごめんね、と、笑って魔王が死んだだけ。

 人里には魔王を討った勇敢な勇者の伝説だけが残った。
 誰も勇者の涙なんて知らないまま。」
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・目星に成功 ★トゥルーエンドにはこの情報が必須です★
 →1冊だけ革張りのノートが混ざっている。
 捲ると他愛ない日記。全て群青のインクで書かれている。
 最後まで捲ると最新のページに辿り着く。

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そういえば、結局試さなかったなぁ。
彼と僕の勇気を合わせた、最後の魔法。

それを試すには僕が死ななきゃいけないから、僕が死んだ後にでも彼が試してくれないかなぁ。
あの、絶対に誰も傷つけない、奇跡の剣の作り方。
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ここから下は意味不明な文字の羅列が続いているが、魔王役にはその内容が理解できる。
意味不明な文字の羅列は何らかの呪文であり、解読できた探索者はその呪文を口に出せることにも気づく。

※「祭壇の間」で武器を【ゆうしゃの剣】に強化する専用の呪文です。
 SANcはなし。

その呪文を理解した途端、魔王役の探索者の左胸に激痛が走る。
立っていられない、行動できないレベルの激痛。
汗がにじみ、心臓をえぐり出されるような、生命の危機を感じる激痛にSANc0/1。

しばらくすれば痛みは収まる。
POW×5に成功することで、魔王役にだけ痛みが収まる直前に以下の声が聞こえる。
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「だめだよ、この『きせきの呪文』はきちんと場所と道具を揃えて唱えなきゃ。
 君のを使うわけにはいかないから、僕のを君にあげる」
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声が消えると同時に痛みは収まる。

痛みから解放された魔王役は、片手の中に拳大の石を持っている。
透明な水晶の中に炎のような黒い光が揺らめいている石。
魔王役は、それが【魔王の心臓】と呼ばれるアイテムであると直感的に理解する。

【魔王の心臓】を手に入れた後は、魔王役が呪文のことを思い出すたびに、【魔王の心臓】が鈍い光を放つ。
思い出す魔王役の胸にも鈍い痛みが走るが、初回ほどの痛みではない。



祭壇の間


観音開きの扉を開くと、そこは石造りの間と同じく天井の高い部屋だった。
部屋の中央に祭壇があり、その左右に掲げられた不思議な炎の色の松明が空間を照らしている。

――そして探索者たちは、祭壇の前で身動きしている影に気づくだろう。
彼らも新たな侵入者である探索者たちに気づく、すぐにこちらを振り向く。……振り向いた、のだろうか?
探索者たちが判断に迷ったのは、その存在は探索者の知識にあるどの生物とも一致せず、どんな生物とも違う作りをしていたためだ。

浮遊する1つの火の塊、そしてネバネバした不定形の塊から無数の節足のようなものが突き出したもの。
その2つの怪物は、探索者達の生理的、そして本能的な恐怖を煽るには十分な容姿をしていた。
→SANc1/1d10。


神話生物「無形の落とし子」「炎の精」との戦闘です。
物理攻撃は効きませんが、魔法や聖なる剣撃などは通用します。
(狩人や格闘家などがいた場合、物理攻撃なので効きません)
炎系の技を与えていた場合は、炎の精には効きません。


【無形の落とし子】
STR 15 CON 5 SIZ 9 POW 11 DEX 19
HP 7
DB なし
・鞭 90% ダメージ1d6または組み付き効果
・打突 20% ダメージ 2d6

【炎の精】
STR なし CON 11 SIZ 1 POW 16 DEX 18
HP 6
DB なし
・タッチ 85% ダメージ2d6火傷


戦闘終了後に探索が可能。


~探索情報~
この部屋には祭壇の他には何もない。


◆祭壇
石造りの祭壇に真っ赤な布が引かれている。
祭壇はテーブルほどの高さで、幅数メートルほど。

祭壇の中央には物を置けそうなスペースがあり、それより手前側に大きな銀皿がある。
他には何も置かれていない。

銀皿の更に手前の位置に、『供物の儀の祭壇』と刻まれている。

※「供物の儀」を行うことで武器を進化できる空間です。


◆祭壇で武器を進化させる

・「供物の儀」のやり方

祭壇の中央に剣を置き、【魔王の心臓】or【勇者の涙】を銀皿に置く。
その後呪文を唱える。
呪文を唱えた探索者はPOW×5を振り、失敗した場合MPを1減らす。

以下のセットで武器を進化できる。
(これ以外の場合何も起こらない)

★パターン1:1段階ずつ進化

【魔王の心臓】
 + でんせつの剣
 + 『さいきょうの呪文』
 →さいきょうの剣

【勇者の涙】
 + さいきょうの剣
 + 『きせきの呪文』
 →ゆうしゃの剣

★パターン2:一気に進化

【魔王の心臓】
 + 【勇者の涙】
 + でんせつの剣
 + 『さいきょうの呪文』
 + 『きせきの呪文』
 →ゆうしゃの剣


◆剣の描写、能力
【さいきょうの剣】
 刃から柄に至るまで、どんな光をも吸い込む漆黒。
 時々黒い炎のようなものが迸る、非常に禍々しい剣。
 勇者以外は持ち上げられない。
 ダメージ…1d10+1d6+db。

【ゆうしゃの剣】
 水晶でできた透明な柄に、白い光で構成された不思議な刃。
 時々きらきらと星屑のような光が零れる。
 勇者以外はすり抜けてしまい触ることができない。
 勇者は柄にも剣にも触れることができる。


勇者役が【ゆうしゃの剣】を手に取ると、以下の声が頭に流れ込んでくる。
「ああ、最初からこの剣で、お前の中の魔王の力だけを斬ることができていたらなぁ」
宣言があればアイデア成功で、勇者像と同じ声だったことが分かる。







ED分岐


◆勇者役の攻撃によって魔王役が死亡する【BAD】
魔王役が倒れた途端、激しい轟音がどこからともなく轟いた。
「よくも、よくも……!!」
憎悪に塗りつぶされた男性の声が何重にも重なり、それと同時に探索者たちが立っている床が激しく揺れ始める。
揺れはどんどん激しくなり、仕舞いには頭上からパラパラと石くずが降り始めた。
そして間もなく天井が崩れ、巨大な瓦礫が探索者たちに降り注ぐ。自分の身体が無残にも瓦礫に潰される感触とともに、探索者たちは意識を失った。

――探索者たちは意識を取り戻す。見上げるのはいつもどおりの自分の寝室の天井。
あれは夢だったのか? 身体には傷一つ残っていないが、身体が潰されたあまりにもリアルな感覚を探索者たちは忘れることができないだろう。

その数日後、千茅の友人であった探索者の元に千茅から電話がかかる。
千茅は力ない声で、弟である涼平の容態が急変し、先日亡くなったと探索者たちに告げる。
「オレが代わってやりたかった。あいつが死ぬくらいなら、オレが……」
電話口の向こうで千茅は、声を押し殺し呻くように泣いていた。

→BADエンド。
 魔王役は親しい友人に殺された悪夢により、1d20のSANを減少。
 その他は身体が潰れたリアルな悪夢により、1d10のSANを減少。


◆戦闘で全滅する【BAD】
探索者達は自分が絶命するその瞬間を、身体を貫いた激痛を、鮮明に体感する。
命を断たれた決定的な一撃と同時に、探索者たちの意識は黒く沈んだ。

――探索者たちは意識を取り戻す。見上げるのはいつもどおりの自分の寝室の天井。
あれは夢だったのか? 身体には傷一つ残っていないが、殺された瞬間のあまりにもリアルな感覚を探索者たちは忘れることができないだろう。

その数日後、千茅の友人であった探索者の元に千茅から電話がかかる。
千茅は力ない声で、弟である涼平の容態が急変し、先日亡くなったと探索者たちに告げる。
「オレが、手術を受けられるよう、あいつを勇気づけられてたら」
電話口の向こうで千茅は、声を押し殺し呻くように泣いていた。

→BADエンド。
 自分が殺されたというリアルな悪夢により、全員1d10のSANを減少。


◆魔王役を【ゆうしゃの剣】で斬る【TRUE】
勇者役が魔王役を斬った瞬間、勇者役の手の中に明らかな手応えがあった。
しかし目の前の魔王役の身体には傷一つついていない。
光の刃が身体を通り過ぎた後、魔王役の探索者は突然意識を失いその場に倒れ込む。
意識を失った魔王役の頭からは2本の角が消え、着ているマントも群青色に変わっていた。
それを確認すると、探索者たちの頭の中に柔らかい声が響く。
「大変な思いをさせてごめんね。勇気を出してくれてありがとう」
それと同時に視界に白い光が満ち、探索者たちは全員意識を失った。

――探索者たちは意識を取り戻す。見上げるのはいつもどおりの自分の寝室の天井。
あれは夢だったのか? 身体には傷一つ残っていないが、あの空間での体験を探索者たちは鮮明に思い出せるだろう。

その数日後、涼平ともっとも親しく話していた探索者の元に電話がかかる。
それは兄から連絡先を聞いた、涼平からの電話だった。
涼平は電話で、ゲームをクリアできたこと、そして手術を受けると決めたことを言う。

「ゲームのストーリーの展開が、結構思ってたのと違ってさ。
 魔王を倒す勇者も辛かったんだって思ったら、俺に手術しろっていう兄貴たちも辛いんだろうなって。
 だから……俺もちょっとだけ勇気出して、手術受けることにしたんだ」
ゲームの話をできた人が久々だったから、クリアできたことだけ報告しようと思った、と涼平は照れくさそうに言う。

さらにその数ヶ月後、探索者たちは千茅から、弟の手術が無事成功したことを聞かされるだろう。

→生還



報酬


・生還 1d10
・魔王役を他探索者が傷つけなかった 1d6
・勇者の像を壊さなかった 1d3

勇者役へAF
『勇者の涙』
 小さな丸い粒状の水晶。光にかざすと不思議な色にきらめく。
 1回のみ、シナリオ報酬のSAN値を他の探索者へ譲渡できる。
 使用すると水晶は弾け、虹色の光の粒となって消える。
(使用するタイミングはシナリオ終了時限定。使用可否はGMに確認してください)

魔王役へAF
『魔王の心臓』
 ぶどう粒ほどの大きさの水晶。中に黒い炎のようなものが閉じ込められている。
 1回のみ、シナリオ報酬のSAN値を他の探索者へ譲渡できる。
 使用すると水晶は弾け、群青色の光の粒となって消える。
(使用するタイミングはシナリオ終了時限定。使用可否はGMに確認してください)







製作背景とか裏話


探索者たちが放り込まれたのは、『BB』のラスダンのラスボス面です。

このゲームとやらをここまでやり込んでる人間いねぇな~とニャル様が涼平のゲームデータで遊ぶことにして、そこにゲームの登場人物たちの年齢に近いからという理由で探索者たちが巻き込まれました。
涼平のゲームのバグは、ニャル様によって送り込まれた炎の精と無形の落とし子によって発生していたものです。

結果的に探索者たちの行動がニャル様のいたずらによってバグ化していたデータを正常化することにつながり、涼平は無事にゲームをクリアすることができました、というお話。

どこかで使いたいとずっと思っていた結構思い入れのあるタイトルなので、せっかくシナリオを作ることにしたのだし、と使ってみることにしました。
ら、思いの外長く……? くどくなりました。
実は悪者なんていなかった、というようなこの手のストーリーがとても好きです。

完っっっっ全にどうでもいいところですが、魔王と勇者の一人称二人称にかなり悩みました。
結果は勇者が「僕」「お前」、魔王が「僕」「君」です。
心底どうでもいいところですが。

タイトルは魔王が探索者たちに語りかけている言葉、というイメージです。
いろいろ手間かけさせて悪いけど、うちの勇者をよろしくね、という。