最近GMをさせていただく機会が増えました。
長めのシティはまだなかなかないですが、単発のクローズドはポツポツと……。

その中でわり~と悩みの種なのが、どのようにしてミスリードを防ぐかという点だったりします。

もちろん誤った推理もTRPGの醍醐味ですし、シナリオの中にはミスリードを引き起こすことこそ主旨のものもあります。

とはいえ……シンプルな一本道シナリオでミスリードが起きてしまうと終わった後に興ざめになってしまうこともあるし、全然関係ないことを気にしていた・描写の受け取り方に齟齬があったとかが後々致命的なエラーに繋がるのもTRPG(特にCoC)の特徴です。

というわけで、GMの視点から、ミスリードは何故起きるのか・どのようなミスリードは防ぐべきなのかをちょっと検討してみました。




~目次~







防ぎようのないミスリード


四ヶ内がGMをしている時にそっとしておくのが以下の奴らです。
  • 探索ミスによる推理の誤解
  • 情報不足の時点での深すぎる推理

両方、謎の解明がメインになるクトゥルフだと特に起きやすいことかもしれません。

◆探索ミスによる推理の誤解

調べるべき部屋で調べるべきものを調べなかった、もしくは罠だと推測して重要な空間を調べなかった、とかが例に上がります。全部四ヶ内がPLでやってきたことです
これらについては、もうあの……女神が死ねと言っているとかではないですが……。

基本的に多くのシナリオは、トゥルーエンドでない限り死ぬようになっています(CoCはね!)。
なので、死ぬルート=探索が完全でなかったルートが存在するのも自然なことです。
(むしろそのルートが無いシナリオはシナリオとしてどうかと思います)

また、ミスリードを誘発し、罠に嵌めようというのが基本的なシナリオの意思です。
悪意ではなく、PCたちがシナリオのスリルを楽しめるように。
参加者たるPLたちは悪意の可能性を疑い、ただしその思考に凝りすぎず、最後には真実を掴むことが求められます。

個人的には探索ミスによるロスト(=PCの死)は一番悔しい……。
優しいGMであればアイデアを振らせるなどして救済措置を図ることもありますが、それでもダイスの女神が死ねと言ったら死ぬのでね
運が悪かった、シナリオが巧みだった……終わった後のそんな悔しさも、TRPGの醍醐味でしょう。


◆情報不足の時点での深すぎる推理

これは、序盤の時点で推測を立てすぎて、穿った見方をしてしまう結果起きるミスリードです。
四ヶ内はこれらを推理とは呼ばず推測と区別しています。

シナリオというのは作者の手の中、ひいてはGMの手の中。
裏を返すと、GMは神の視点から、バランスを見つつ情報を小出しにする以外のことはできません。

なので序盤すぎるところで分厚い推理を始めてしまうと、「いや、いや、いやまだそこ考えられる状態じゃないから」とGMが心の中で悲鳴をあげます。
そしてそれを誘導するか否かはGMにもよりますが、GM四ヶ内はそういうのを一切止めないタイプです。過度なメタ指示はフェアではないと思ってしまうので……。
ですので早すぎる段階で結論を出されてしまうと、「も~~知らんがな」と先割れスプーンを投げるような気持ちになることも……あり……ます。

途方もないシティならともかく、本来シナリオの中には進むべき道が存在します。
それを見出すのでなく、自分たちで横穴を開けに行ってしまう……のは、高度なロールかルーニーの紙一重といえるでしょう。



防いだほうが良いミスリード


ここから先は四ヶ内なりに思う、シナリオを本質的に楽しみたいなら防いだ方がいいミスリードです。
  • シナリオの上で全然重要でないポイントを注視してしまう
  • 描写の受け取りミスによるもの


◆シナリオの上で全然重要でないポイントを注視してしまう

これは例えば、情報を出すために何気なく登場させたモブにこだわってしまう部屋の配置など意味なく不自然な点を気にしてしまう、などがあります。
こういったところに時間がとられてしまうとシナリオの時間も悪戯に伸びますし、終わった後に実は関係なかったことを知ったPLが「えぇ……」と気疲れしてしまうことも。

もちろんその誤解が、シナリオの意図するものだったら話は別です。
が、基本的には重要でない箇所にあまりにも時間を注いでしまうのはやはり勿体無いですね。


◆描写の把握ミスによるもの

これは気づくのに時間がかかることが多いのですが……。

日本語はよくも悪くもいろんな受け取り方ができます。
GMや他のPLから見て「なんで!?!?」とツッコミを入れてしまうような奇抜な行動は、意外と描写の把握ミスが原因のことが多いのです。

これはどんなTRPGでもできるだけ早く修正した方が良いです。
というのも、例えばCoCの場合、『部屋を誤解していた』『状況を誤解していた』ことによるロールが、そのままロストに直結したりします
そして死んだ後で、「え、そういうことだったの!?!?」となった時のショック感は言い表せません。

受け取り手が多いほど描写の把握ミスは起こりやすいですが、参加者が3人いて2人が把握ミスを起こしていたら、流石にそれはGMの描写が悪かった可能性もあります。
頭の中では反省を欠かさず、「○○ではなく△△です」とできるだけ早く修正を入れたいものです。







ミスリードを防ぐ3大キーパリング


気を遣うべきミスリードを把握したら、次はどのようにそれらを防ぐかという点。
四ヶ内が個人的に重要だなと思っているのは、以下3点です。

  1. シナリオにないことを言わない
  2. 関係ないものは関係ないと言う
  3. メタ知識による行動は適宜制限する


1.シナリオにないことを言わない

「シナリオにないことってそもそも描写しようがなくない?」と思うこともあるかもしれませんが……。
シナリオというのは手作りです。そのため、矛盾や不足がシナリオにはまま存在します

その時も補足を超えた付け足しをしないのが、ミスリードを防ぐ上では重要です。

シナリオで補足すべき描写とは、その描写がないことでシナリオのクリアに致命的な影響を与えるもの
例えば脱出にカギが必要なのに、カギが入っていなければならない引き出しにカギの描写がない
……これは流石にGMが補足を入れるべきです。

ですが、例えば通りすがっただけのモブに個性的な名前を与えたり、シナリオには関係ない世間話をモブに話させすぎたり。
これは時にPLに、「もしかしてキーキャラクターか?」と身構えさせてしまうことになります。
アイテム、場所についても同様です。

なので基本は、GMはシナリオにないことは言わない方が良いのです。

ここで便利な一言は、「シナリオにないんです」。
シナリオにある分だけ描写して、いざ質問されたら「シナリオに……ない……んですよねぇ……」みたいな感じで流してしまっても良いぐらい。

んな投げやりな! という印象も与えてしまうかもしれませんが、味気ないからという理由でパセリ(=意味のない情報)を盛りすぎて、くそ不味い結果になってしまったシナリオが経験上いくつかあるので……。
それよりはマシだろう! という四ヶ内の自戒でもあります。


2.関係ないものは関係ないと言う

これは1の『シナリオにないことを言わない』も少し関わっています。
例えばモブに意味なく思わせぶりな言い回しをさせてしまった時。
例えばシティシナリオで救済のためにショッピングモールなどを登場させた時。
(シティでは買い物できることがPCの救済になることが稀によくあります)

PLが「そういえばさっき出てきた○○って~」と言い出し、それがシナリオの本筋には関係ないものだった場合は、できるだけ早めに修正を入れてあげましょう。

ここで便利な一言は、「ちなみに」。
「~~でした。ちなみにこの発言に意味は無いです。雑談です」
「~~に到着します。ちなみにシナリオには関係ないです。買いたいものがあったら買えるというだけです」
的な。


3.メタ知識による行動は適宜制限する

現代TRPGだと、PLが元々持っているメタ知識がかえって足枷になってしまうことがあります。

例えば何らかの古典を元にしたシナリオや、星座の情報、その他ちょっとずつニッチな情報を含んでいるシナリオなどなど……。
メタ知識をOKするGMさんもいるでしょうし、四ヶ内も割と寛容な方ではありますが、メタ知識の反映には少々注意が必要です。
というのも、PLが知っている知識がそのシナリオで正しいとは限らないためです。

例えば花言葉が関わってくる物語だった場合。
青い薔薇では「不可能」、黄色い薔薇では「嫉妬」などの花言葉が有名どころです。
が、青い薔薇には「奇跡」黄色い薔薇には「友情」という花言葉もありますし、その他にも多くの花言葉が薔薇には多くあります。
そこでPLが「○○だったはず!」と偏った見方をしてしまうと、その後の展開に違和感が生じたり、探索のミスを誘発することも。

なのでメタ知識が間違った探索を起こしそうになった場合、知識技能を振らせる、アイデアを振らせるなど、適宜メタ知識を制限してあげた方が親切かもしれません。

ここで便利な一言は、「今回はどうやら○○のようです」。
その説もあるけど、今回は違うんやで」とやんわり教えてあげましょう。

特に和物のシナリオだと、着物やお面が出てくることがあります。
お面は能や伝統芸能に使用されることもあり、シナリオ中に出てくるとそれらの要素が関係してくるのか? と気になるPLもきっといます。
そこでPCに技能を求め、成功で「今回のシナリオではその意味ではない」「今回はあってる」と伝えてあげるのがおすすめです。

メタ知識による探索ミスや推理の読み違えって、意外なくらい終わったあとでテンションが下がりやすいので……。



シナリオ進行はGMとPLの共同作業


と……色々GMの視点から思ったことを述べてきましたが、シナリオを進めるにはPLの協力も欠かせないものだと思っています。

GMはキーパリングによって致命的なミスリードを防ぐ
PLはロールする上でシナリオのヌケやモレを許容する

もちろん進行に致命的なヌケモレは、事前にGMがチェックしておくべきです。
ですがいざ進めてみてGMが「あっ!」となったら、PLで「いいよいいよ!」「じゃあこうする?」と柔らかく意見を出し合い、最後まで楽しくシナリオを楽しめるのが最高です。