CoC向けオリジナルシナリオ
「満月のない十五夜」
みんなでもちもちお団子を食べるSAN回復シナリオ。
お月見します。
欲望に任せて突貫で作ったのでやや粗が多いです。
動物が嫌いなPCだとおそらく死んでしまうので、GMさんはそこだけご配慮を。
~目次~
シナリオ情報
想定人数 :1~4人
推奨技能 :ない
あるとラッキー:なんでも
傾向 :SAN回復。動物が嫌いだと結構きつい。
探索者同士は既知の方がスムーズである。
~このシナリオの読み方~
「※」→KP情報、シナリオ背景など。
「SANc」→SAN値チェック。成功/失敗という風に値を書いています。
「---」→ここで挟まれた部分はそのまま共有メモとかに貼れるように書いたつもりです。
NPC
◆猫
可愛い。
◆兎
たくましい。
◆桂男(かつらおとこ)
APP18の男性。念のためだがヅラではない。
導入
※永遠に動物と絡むシナリオなので、動物嫌いのPCがいないかだけGMさんは注意してあげてください。
時期は秋、そして今日は中秋の名月の日。
探索者は全員同じ建物内にいる。
アパートでも、会社でも、ショッピングモールなどでも良い。
探索者たちは思い思い過ごしていたが、ふとうとうとしてしまった感覚がある。慌てて顔を起こせば、先ほどと同じ場所にいた。しかし周りに人がいる環境だった場合、周囲の人が一切いなくなっていることに気がつく。
しんとした空間にいるのは、探索者たちのみである。
ロールによってはSANc0/1させてもよい。
探索者たちが合流していなかった場合、この時にお互いの存在に気づく。
・【アイデア】または【目星】を振らせる
→近くに窓があるが、やたら外が暗いように感じる。
時計を見るが、まだまだ真っ暗になるような時間帯ではないのに。
窓の向こうを見ると欠けた月が浮かんでいる。
・【知識】or【アイデア】
→今日は中秋の名月であり、満月のはずである。
・月に【天文学】
→絶対にありえない角度で欠けていることが分かる。まるで誰かに囓られたような……そんな欠け方だ。SANc0/1。
探索者たちが行動しようとしたところで……足元を猫が通りかかる。
探索者たちは今までこの建物で動物を見たことはないし、野良猫が入るような余地がないのも知っているかもしれない。
猫は探索者たちに気づくと、目をまんまるにしてキョトンと見上げてきた。
その口には何か咥えている。真っ白なおせんべいの欠片のようだが、ほのかに光を放っているような……?
※せんべいを取り上げようとすると滅茶苦茶唸る。DEX*2に成功しなければ取り上げられない。
せんべいを手にとって見ると、……光ってるせんべいだな……という印象を受ける。
猫はてこてこと探索者たちに歩み寄り、じっと見上げてきた。
ややあってにゃーと話しかけてくる。
「おみゃーさんたちも招待されたのかにゃ?」
猫語の技能持ちは、まあ猫も喋ることあるもんな……ということでSANcは発生しない。猫語を持っていない人間はびっくりしてSANc0/1、ロールによってはSANcを省いてもよい。
猫はすんすんと探索者たちの匂いをかぎ、首を傾げる。
「おみゃーたち、月に住んでる人でもないにゃ。兎さんの友達かにゃ?」
「おかしいにゃあ。招待された人しか今この敷地内にいにゃいはず」
「よくわっかんにゃい。ついてくるにゃ」
ついてきてくれそうになかった場合は、「タダ飯が食えるにゃ?」などPCが動きそうな言葉で釣る。
探索者たちがこの建物から出ようと試みた場合、どんな手段を講じても何故か外に出られないことに気づく。SANc0/1。
猫は階段を登り、建物の屋上へとたどり着く。屋上の扉は猫が通り抜けられそうなほど薄っすらと開いている。
猫は探索者たちを置いてさっさと扉の向こうに入ってしまう。
探索者たちが扉を開ければ――そこには真っ白な月光の下、えんやこらと餅をついている兎たちの姿があった。
お月見の準備
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屋上にいる生き物
・餅をついているウサギ…月見団子を作っている
・薬草をついているウサギ…月餅を作っている
・すすきを飾っている兎
・ゴロゴロしている猫
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探索者たちが状況を把握しているうちに、猫は何故か偉そうに胸を張って探索者たちに言う。
「おみゃーたち! 飯が食いたかったら兎さんを手伝うんだにゃ」
「食いたくないから帰してくれ? よくわっかんないにゃ」
「どーせ他にやることもないにゃ? 兎さんのお月見ご飯は格別にゃ!」
・ここでCON*5を振らせる
→失敗で空腹を感じる。
確かにこの空間はいい匂いで満ちているし、妙にそそられてしまう。
各シーンで兎が喋っても、「さっき猫も喋ったしな……」ということでSANcは省く。
◆餅つきを手伝う
数匹の兎たちが、臼と杵を使って餅をついている。
「ハイッ! ハイッ! ハイッ! ハイッ!」と非常にリズミカルかつ鬼気迫る様子。兎に見合わぬ迫力すら感じるだろう。
探索者が近づくと、「人だ!」「人様だ!」とわらわら群がってくる。めっちゃもふもふする。
手伝うと言えば喜んで杵を渡してくれる。びっくりするほど重い。この兎この杵を使って……と思うくらい重い。
餅つきする時は、STR*5とDEX*5の組み合わせ、または杖系の技能が振れる。
組み合わせの場合、どちらかまたは両方に失敗すると「ここからは俺達に任せな!」と兎さんがものすごい勢いで仕上げてくれる。最終的に月見団子になる。
成功すると兎に見込まれる。クリティカルすると崇められる。
◆薬草つきを手伝う
・【知識】
→中国では月に住む兎は最高の薬師である、みたいな伝説があったな、と思い出す。
数匹の兎たちが、臼と杵を使って薬草をついている。
「ホッ! ホッ! ホッ! ホッ!」と非常にリズミカルかつ俊敏。目にも留まらぬ杵さばきである。
探索者が近づくと、「新入りさん?」「お手伝いさん?」とわらわら群がってくる。めっちゃもふもふする。
手伝うと言えば喜んで杵を渡してくれる。この薬草を使ってこの餡を……とめっちゃ仔細に指示を出してくれる。
薬草つきする時は、「DEX*5とEDU*5」or「DEX*5とINT*5」の組み合わせロール、または医学・薬学系の技能が振れる。
組み合わせの場合、どちらかまたは両方に失敗すると「あらあらまあまあ」と兎さんがものすごい勢いで仕上げてくれる。最終的に薬草がふんわり香る月餅になる。
成功すると兎に見込まれる。クリティカルすると崇められる。
◆すすき飾りを手伝う
月見台なのだろうちゃぶ台を囲んでいる兎が数匹いる。
【目星】すると、影に隠れてすすきを食っている兎を見つける。叱ったり他の兎に伝えたりすると、「すみませんねぇ」と他の兎が寄ってくる。めっちゃもふもふ。
すすき飾りを手伝うときは、何がしかの芸術技能が振れる。
成功すると兎に見込まれる。クリティカルすると「あ、新しい芸術だ……!」と崇められる。
◆猫と絡む
自堕落にごろごろしている猫の群れ。楽しそうに尻尾がパタパタしており、兎に呼ばれたら手伝いにすぐに駆けつける。
・猫との会話
「オイラたちは材料提供したんだにゃ」
「オイラたちはそんなに器用じゃないにゃ。あとはプロフェッショニャルの兎さんたちに任せるのが懸命にゃ」
「兎さんとオイラたちはニャカ良しにゃ。共通の知り合いのオッサンがいるんだにゃ」
「オッサンも誘ったけど来なかったんだにゃ。最近はソリ? 戦車? をブイブイかっ飛ばすのにはまってるらしいにゃ」
※オッサン=ノーデンス。
「SNSやってれば元気にゃのが分かるにゃ。だからオッサンは少々会えにゃくても大丈夫にゃ。でも兎さんはにゃかにゃか会えにゃいからにゃ」
・月が欠けてるのはなんで?→「今日のメインディッシュだからにゃ!」「お月さまは美味しいにゃあ♪」
お月見
みんなが何かしらダイスロールなどをしたら、お月見開始。
屋上の扉から鍋を抱えた兎と猫が追加で現れ、鍋に入っていたものをでんでんと並べていく。
すすきの飾られたお月見台が、あっという間にごちそうでいっぱいになった。
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お月見のごちそう
・月見団子
・月餅
・どら焼き
・きぬかつぎ(里芋を煮たもの)
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そのほか、月見といえばこれやろ!! みたいなGMさんのこだわりがあれば追加してください。
ここでCON*3を振らせ、失敗したらとにかくお腹が減る。
も~~食べたい! とりあえず何かが食べたい! あと目の前のものがめっちゃ美味しそう! と思う。
兎さんがテキパキ座布団を出して進めてくれる。その横で猫はすでに食べ始めている。
・月見団子…ほんのり甘くてもっちもち、ちょっと湯気が立っている。めっちゃ美味い。SAN1d3回復
・月餅…胡桃の入った餡に完璧にマッチする生地。めっちゃ美味い。SAN1d3回復
・どら焼き…オーソドックスなのに何処か懐かしく涙の出そうになる味。めっちゃ美味い。SAN1d3回復。
・きぬかつぎ(里芋を煮たやつ)…美味しい!!!!!!!!!!!!!!!!!! SAN1d3回復。
探索者が2~3品食べたところで、屋上に新たに人影が現れる。
振り返ればそこに立っているのは、やたらイケメンの男性である。APPは18。
「あ、やっぱりここでお月見やっていたんだね~」
「桂男(かつらおとこ)にゃ! おみゃー遅いにゃ~」
と猫と仲睦まじい様子で話す。
桂男は猫を撫でながら困ったように眉尻を下げる。
「ごめんよ猫くん、実は僕ちょっと収穫しすぎちゃったことが分かって……ほら、こっちは満月じゃないといけないのにあんなに月が欠けちゃってるだろう?」
「申し訳ないんだけど、月を元に戻さないといけないから、ここの料理の残りを頂いてもいいかな」
(´・ω・`)とする兎と猫。淋しげではあるが、「仕方ないにゃあ(´;ω;`)」といそいそ片付けを始める。
そこで男が探索者たちに気づき、慌てて頭を下げる。
「お客さんが来ていたんだね。申し訳ない、せっかくのお月見なのに」
「お土産はお渡しするから、一人一品ずつ好きなものを持って帰ってくれていいよ!」
聞きつけた兎が手早く駆け寄り、以下の包みを渡してくれる。
・月見団子
・月餅
ここで【目星】を振らせる。成功すると、男が腰元に印籠(薬入れ)を下げているのに気づく。
探索者の目線に気づいた男は、「ああ、これもお土産に入れようか」と乗っけてくれる。
おみやげが以下の通りになる。
・月見団子
・月餅
・男の印籠
探索者が一品選んだところで、一番懐かれたor見込まれた探索者の足元にするっと猫が寄ってくる。
「せっかくのお月見だったのに申し訳にゃいにゃあ。おみゃーさん達さえ良ければ、また明日にでも一緒にお月見してくれにゃいかにゃ? 満月ではにゃいけども」
◆探索者「もちろんだとも」
にゃー!!(´;ω;`)と喜ぶ猫。
「おみゃーさんたちが元いた部屋に戻れば、元いた世界に帰れるはずにゃ」と尻尾や耳を振りながら見送ってくれる。
淋しげな猫を兎がよしよししている姿を尻目に、探索者たちは屋上を出ていく。
◆探索者「お断り」
にゃー……(´;ω;`)と凹む猫。
「おみゃーさんたちが元いた部屋に戻れば、元いた世界に帰れるはずにゃ」と尻尾や耳を振りながら見送ってくれる。
淋しげな猫を兎がよしよししている姿を尻目に、探索者たちは屋上を出ていく。
探索者たちがどこかのドアを開けたタイミングで、ガラッと空気が変わる。
突然喧騒に包まれ、気づけば周囲にはまばらではあるが他の人々の姿がある。
はて夢だったのか、と思うが、手にはしっかり土産を握っていた。
・以下は最後の猫の誘いに了承していた時のED描写
……次の日の夜。
自室などで探索者たちが思い思いに過ごしていると、部屋の扉を外からカシカシと引っ掻く音が聞こえる。
扉を開ければ、そこにいたのは昨日見た猫。みゃーと鳴くそいつは人の言葉を話すことはなかったが、何かを期待するようにじっと探索者を見つめてくる。
猫は小さな口に、何か円形の葉っぱを咥えていた。
・葉っぱに【生物学】or【博物学】or【知識-20】
→桂の葉だと分かる。
ぐりぐりと探索者の脛に頭を押し付けてアピールしてくる猫。
窓の外をちらと見れば、ほんの少しだけ欠けたお月さまが、それでも十分ピカピカと光を放っていた。
十五夜には少々足りないけれど、もう一度お月見の準備を始めようか。
シナリオエンド
SAN報酬
・1d10+1d6
・月見の準備で技能成功…1d6、クリったらさらに+1
・月見の準備を手伝った…1d3
・猫ちゃんと2回目の月見の約束をした…1d3
【AF】
・月見団子
めちゃくちゃ美味しくて力が湧く。HPが1回復する。使用可否は必ずGMに確認すること。
DEX*5に成功することで意識を失った他者にも呑み込ませ、回復させることができる。使用回数は1度のみ。
・月餅
めちゃくちゃ美味しくて薬草の香りに頭が冴える。不定の狂気にかかった際、期間を1d3減少させる。
使用可否は必ずGMに確認すること。使用回数は1度のみ。
・印籠
中身は黒い錠剤「ドクター・ドリーム」。マレモンP.72。1粒しか入っていない。
探索者が使いみちを理解したい場合は、知識半分、薬学-20、医学-20、クトゥルフ神話技能のいずれかに成功が必要。何であるかは分からないが、どのような薬であるのかは把握できる。
また、猫語orウサギ語を持っていなかった探索者は、以下の通り持ち帰り。
・猫語 5%
・ウサギ語 5%また、猫語orウサギ語を持っていなかった探索者は、以下の通り持ち帰り。
・猫語 5%
元から持っていた探索者は成長なし。
シナリオ背景とか裏話
月見がしたかった。
日本の餅つき兎、中国の桃仙娘々、月に住む桂男など色々詰め込みました。
探索者たちはうっかりウトウトしたところ、『兎が住んでいるドリームランド』に迷い込みました。
探索者たちが住んでいる次元と同じ見た目をした違う場所です。
猫と兎はそれぞれ別のドリームランドの住人。
猫のドリームランドで桂の木を刈ると、兎のドリームランドの月が欠ける、という不思議な相互関係がある。
出てきた食べ物はぜーんぶ『猫のドリームランド』の桂の葉の化身です。
(化身なので、食べ物になった時は食べ物そのもの。普通に美味しい)
桂男は『猫のドリームランド』の方の住人。
桂男さんが刈った桂の葉が、別の世界ではお餅や薬草などに変化することを知った猫さんが、兎さんにお願いして月見パーリィを開いてもらっていました。
猫ならドリームランドを移動できるので。
最後に出てきた桂男は、実はイケメンの面を被ったチョー=チョー人です。ドリームランドなので見た目をいじっています。
色々必要で桂を収穫していたら他のドリームランドに影響が出てしまい、ノーデンスにこっぴどく叱られ慌てて回収にやってきました。
『猫のドリームランド』ではそのチョー=チョー人のことを桂男と認識している、というふんわり設定です。
本当は中国でいう桂って金木犀のことらしいのですが……葉っぱの形が可愛かったので今回は桂の木を採用。
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