マーダーミステリー
 ジャンルタイトルの時点でめちゃくちゃ胸熱くないですか?
 殺人ミステリーて。

 嗅覚の鋭いTRPG界隈の方はある程度ご存知かもしれませんが、最近『マーダーミステリー』なる非電源ゲームの新ジャンルがじわじわと流行ってます。
 やってきました。めっちゃ楽しかったです。
 すごい興奮したので久々に書き留めておきます。

 筆者が遊んできたのは「Rabbithole」さんのオリジナルシナリオ「双子島神楽歌(はるかげ-かぐらうた)」です。

※留意点その1※

 筆者のメインジャンルはTRPG(ていうかCoC)ですので、割りとCoCに沿った視点での見方をしています。

 例として分かりやすいと思ったのであえてやってます。


※留意点その2※

 テンションが上っていたのでめちゃくちゃ長いです。

 適度に読み飛ばしてください。


※留意点その3※

 「そもそもマーダーミステリーってなんなの?」の人も読めるよう、体験の話と調べた話が入り混じっています。





▽もくじ






マーダーミステリーとは


 ますマーダーミステリーってなんなのか。
 私の説明がジャンルの意に沿っていなかったらいけないので一応検索してきます。

 検索してきました。

 マーダーミステリーの根本的な遊び方は、「殺人事件の関係者として事件の謎を解き明かす」ことです。
 なんか中国でめっちゃ流行っているんだって。
 どのシナリオでも必ず殺人事件が起きます。分かりやすいですね。
 そしてミステリーなので、そこには沢山の謎が付随するわけです。

 参加者(以下、PL)はそれぞれ、『殺人事件の関係者』の役を1人1役ずつ与えられます。CoC的に言えば秘匿HOです。
 この役を便宜上PC(プレイヤーキャラクター)と呼びましょう。アナログゲーっぽく。

 マーダーミステリーの面白いのが、自分も容疑者であること。
 シナリオによっては、PCの中に殺人犯がいることもあります。いないこともあります。それも推理しなければなりません。
 そして殺人犯であるPCは、最後まで自分が犯人であることを隠さなければなりません。

 つまりマーダーミステリーは秘匿HO系PvPシナリオであり、役職細かい系人狼ゲームでもあるわけです。

 人狼ゲーム的に見るのであれば、まずこの村は人狼が存在しない平和村なのか、それとも人狼のいるヤベェ村なのかという推理も必要です。おもろい。
 人狼=殺人犯村人たち=その他のPCと置き換えると、ゲームの感覚が分かりやすいかも。
 とはいえ3時間遊べるゲームですからね。ただの人狼ではありませんもちろん。そもそも人狼ではないです。



マーダーミステリー専門店『Rabbithole(ラビットホール)』


 今回筆者が友人たちとお世話になったのは、マーダーミステリーゲーム専門店『ミステリースペースRabbithole』様です。
 新宿の真ん中で殺人事件やるの面白いやろと思ったら、想像以上に新宿ど真ん中で大喜びしました。

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(画像引用:Rabbithole様 https://rabbithole.jp/about

 Rabbithole様は最近(2019/11現在)展開されはじめた店舗で、新作シナリオや渋谷店の開設などどんどん裾野を広げています。
 やたらしっかりしてるなと思ったら、主催がボドゲカフェ『JELLY JELLY CAFEを運営されてるピチカートデザインさんでした。そらちゃんとしてるわ。

 遊んだシナリオは『双子島神楽歌(はるかげ-かぐらうた)』。
 Rabbitholeさんのオリジナルシナリオで、8~10人の人数に対応しています。
 これシナリオ書き手なら伝わると思うんですけど、秘匿HOモノで人数可変なのすごくない?? 感動しました。



マーダーミステリー当日の様子

※留意点※
 未体験の人がしっかり想像できるよう、具体的に書き込んでいます。
 情報量が多いので、興味ない人は流し読みしてください。


導入


 イベントルームは一部屋。六畳よりちょっと広い程度。
 (上の画像参照)
 中央にでかいテーブルと人数分の椅子があり、その上にシナリオ用の紙類バインダー、そしてゲームカードが並んでいます。

 入り口横スペースはGMブース。BGMをかけたり、ここで待機したりしてシナリオ進行を見守ったり。
 そして部屋の天井近くに、一台どでかいタイマーが設置してあります。これがほんといい感じにスリル。

 各席には最初から名札がついています
 つまり、「この席に座る人がこの名前の役」というわけです。
 じゃんけんや1d100で低い順などで座る場所を決めます。「ダイスを振ろう」と言って全員スッと用意できるメンバーのことを心から信頼しました。

 席についたら自分の席にあるものを見てみよう。
・バインダーwithメモ用紙(A4白紙)
・PC名の名札
・PCの秘匿情報カード【伏せて置いてある】
・チップ数枚
 全員これだけのものが席にあります。
 (シナリオ依存だろうので、これとは限らないこともあります。きっと)

 せっかくなのでテーブルの真ん中にあるものも見てみる。
・事件のマップ
・情報カード…数セット数枚ずつ【伏せて置いてある】
・各PCの情報カード…人数分数枚ずつ【伏せて置いてある】
 はい、もう楽しいですね。

 全員が席についたら、幼稚園児のごとくはしゃぐ成人一同をにこやかに諌めながら、GMさんが『各PCのシナリオブック』を配布してくれます。
 これがマーダーミステリーの醍醐味。

 マーダーミステリーのTPRGと大きく違うところに、「シナリオに時間経過の設定がない」点が挙げられます。
 もちろん全員が相談しあうため、物理時間は流れます。
 しかしそれはTRPGよりも単位がちいさめ。マーダーミステリーではほぼ「物理時間=シナリオ時間」といった体感で進んでいきます
 たとえばTRPGでは「1部屋調べるのにシナリオ時間で30分かかる」みたいな処理があったりしますが、マーダーミステリーではこれがないわけです。
 (私もまだ1作しか参加したことがないため、これがすべてではないかもしれません)

 マーダーミステリーは時間経過の設定がないかわりに、シナリオの背景そのもの」が非常に濃く深く作られています
 マーダーミステリーでPC全員が立ち会うのは、ある一つの殺人事件現場。
 この「殺人事件現場に出会うまで何をしていたか」が綴られているのが、各PCごとに配布されるシナリオブックです。
 TRPGで言えば秘匿HOの部分ですね。

 これが、もう、すんごい情報量なの。
 シナリオブックを開いてみれば、

・全員共通の、この事件に対する認識
・自分のキャラクターの大体の性格
・自分のキャラクターから見た、他の参加者たちの印象一覧
・事件までの自キャラクターの行動

 が書いてある。
 これ多分全部で3000~4000字くらいあったと思います。もはや脚本じゃんね。
 これが全員分あるの。すごくない?
 (セッション中、シナリオブックはいつでも参照できます。ご安心を)

 つまり、TRPGでいう「探索で明らかにしていくべき情報」を、PCたち全員が、それぞれ最初から抱え込んでいるわけです。
 しかしそこには秘密にしなければならない事情や、自身でも理解できない情報がある。
 犯人にとってはバレてはいけない情報もある。
 それを会話や交渉、ときに取引によって明らかにしていくのが、マーダーミステリーの醍醐味なわけです。



基本的な進行


 マーダーミステリーは大抵、時間制限制のゲームです。

 私が体験した回は、
導入(シナリオ読み込み)
推理パート【時間制限】
犯人当てパート
エンディング
 という流れでした。間で休憩も取ってるのでご安心を。すげぇ頭使うのでね。
 推理パートは休憩含めて2時間弱ほど。この間に事件現場を調べたり、他人の証拠を検めたり、全員と会話したり数人と密談したりします。

 マーダーミステリーは、基本的にGMがシナリオを進行することはありません(イベントを操作することはあっても)。
 マーダーミステリーはPLによる「調査」「会話」を軸に話が進みます。



マーダーミステリー~調査~


 TRPGの感覚がある方は、「探索やGM進行がないのにどうやってシナリオが進むんだ?」とちょっと不思議かもしれません。

 マーダーミステリーでは、PLは事件に関する「情報」を調査することができます。
 これが↑で書いたテーブル上のカードたちです。
 マーダーミステリーにはカードとGMが必須なので、ある意味TRPGとボードゲームのハイブリッドといえるかも。

 カードにはいくつか種類があります。
(複数のマーダーミステリーを見た上でざっくり記載しています。すべてのシナリオがこの通りとは限りません)
◆現場カード
 名前の通り、殺人事件現場の情報のカードです。人が死んだら現場がありますからね。
 複数枚あります。
◆遺体カード
 名前の通り、殺人事件現場の遺体の情報カードです。人が死んだら遺体になりますのでね。
 これも複数枚あります。
◆PC証拠カード
 これは上の2つとは異なり、各PCそれぞれごとにあるカードです。
 これは例えばその時のPCの持ち物であったり、事件の前後でPCが取っていた行動だったりします。
 これも複数枚ずつあります。
 たとえばPCがA・B・C・Dと4人いたら、Aさん分が数枚、Bさん分が数枚……といった感じで。
 これらのカードは表に「カードの種類」、裏に「情報」が書いてあります。
 そしてすべてのカードは伏せられた状態で始まります。カードをオープンするまで、事件の情報は分からないわけですね。
 シナリオが始まったら、PLたちはこのカードを頼りに調査していくわけです。

 そしてカードの取り方、情報の公開の仕方にもルールがあります。



カードの取り方


 基本的にはカードは「1人、1度に1枚ずつ」取ることができます。
 そしてカードは「誰が」「何を取ったか」明確でなければなりません

 カードを取るルールはシナリオに準じますが、基本的に取り放題なことはまずないです。
 1人が取れるカードの上限数が決まっていたり、前半パートでは1人1枚のみ、みたいに決まっています。だいたい。

 その制限の中で、『現場カード』『遺体カード』『PC証拠カード』のどれを取るのか(誰のものを取るのか)を考える必要があるわけです。おもろいね。
 特に犯人だったら絶対に自分で抜いておきたい情報とかありそうだしほんとスリルだよね。







取ったカードの扱い方


 上で書いたとおり、カードは「誰が」「何を取ったか」明確でなければなりません。
 そして誰かが取ったカードは、取った人の所有物になります。

 カードを取った後にできるのが、
・情報の公開、非公開の選択
・カードを誰かに譲渡する
 です。おもろいね。

◆情報の公開、非公開の選択
 カードの裏に書いてある情報を全員に公開するか否かは、カードを取った人が決めます
 カードの情報はその人にとって有利かもしれないし、不利かもしれない。
 もしくは今はまだ言うべきではない情報かもしれない。

 しかし、他の人が分かるのは「その人がカードを公開したか否か」だけ。
(上記の通り誰が何を持っているかは明確なので、公開していないカードも丸わかりです)
 「あの人、なんであのカードを公開しないんだろう」という推理も奮います。おもろいですね。


◆カードを誰かに譲渡する
 これは情報の公開・非公開を問わず。
 たとえば「PC証拠カード」で出てきたものが個人の財布とかだったら、ちょっと流石に返すよ……と公開した上で譲渡することも可能です。
 譲渡されたカードは、受け取った相手の所有物になります。
 逆に、「これは事件の真相に関わるだろうな」という情報を、全体には非公開のまま当人に譲渡もできるわけです。

 後述しますが、譲渡のついでに「密談」もできます。
 たとえば他のPCと1対1で話し、「君の持ち物からこんな証拠が出てきた。これはどういうこと?」と揺さぶったり追い詰めたりすることも。
 お察しかも知れませんがめちゃくちゃ楽しいんですね。

 これ意外と、聞かれる側になっても楽しいんですよ。
 というのも前述したシナリオブックで、PCの行動や動機・隠したいことはほとんど補完されています
 なのでPC側は、「きっと自分の証拠カードにはあの情報が書かれているだろうな」と想像できるわけです。
 なので聞かれたときに「やっぱり来たな。さてどう言い逃れるか」みたいなことを考えるハラハラ感も楽しいです。

 これは個人的な所感なんですが、いわゆる人狼ゲームと比較して、その手の「やっぱり来たな」の余裕が多いので私は助かりました。
 人狼ゲームは地の情報が少ない分マジで地頭勝負なので、自分の一つ一つの発言にも気を遣わないとならないわけですね。ミスの揚げ足なんて取られたらもう吊ってくださいと首を出すしか(私には)できません。
 その点、マーダーミステリーにはそれぞれ脚本と言っていいシナリオブックがあります。これをベースに思考・発言すればいいので、ある程度自分の振る舞いに筋を通しやすいわけです。
 私は心が弱すぎるので人狼ゲームをすると本気の涙が出るタイプなんですが、マーダーミステリーはほんとめちゃくちゃ心底楽しめました。おもろかった。



マーダーミステリー~会話~


 マーダーミステリーの主軸その2「会話」。
 これは主に全員のいる場で話す「話し合いと、少人数を呼び出して話す「密談があります。もう胸が熱くなってきた。



「話し合い」


 そのまんま、全員オープンで話し合うことです。
 全員がいる場で公開カードを見たり、あの時あの場で何をしていたか、みたいな事情聴取もできます。
 犯人サイドが「あの人の不審を煽っておきたいな」というときに、言いづらそうな情報を握っている人をみんなの前で突いたりするのもなかなかスリル。



「密談」


 これがシステムとして組まれてるの面白いよね。
 文字通り、少人数で会話が可能です。
 基本的には誰かが誰かを指名し、1対1で、他の人のいない場所で内緒話をすることが多いです。

 上で書いたPC証拠カードの話とかもここだとしやすい。
 犯人サイドが「あの人が怪しいと思う」という根も葉もない濡れ衣を、効率よく着せて回れるのもこのタイミングだったりします。
 1対1で話しているからって、相手が真実を語っているとは限らないわけです。

 シナリオによっては「犯人以外は嘘をついてはいけない」という縛りがあるものもあるらしいけども。
 そういうのも楽しそうだけど、犯人の立ち回りすごい大変そうだよね。


 こんな風に、調査と会話を丁々発止して遊ぶのがマーダーミステリーです。



おまけ~フラグイベント~


 マーダーミステリーで面白いのが、大抵のシナリオに「フラグを回収したことによるイベント」が仕込まれています
 たとえは、「○○の情報が全体公開されている」「PC☆☆が▲▲の情報をゲットしている」などのフラグ。
 フラグもイベントの数も大抵内緒ですが、このためにGMが必要なんですね。

 フラグイベントは多くの場合、「情報カードの追加」という形で現れます。
 例えば現場の情報を洗い、遺体の情報を洗った結果、隠されていた部屋の存在が明らかになる、みたいな。

 しかし誰かがカードを秘匿することによって、フラグイベントそのものが発生しない可能性もあります。
 情報公開が吉と出るか凶と出るかは、GMのみぞ知るって感じ。



犯人当てパート


 推理パートが終わったら、クライマックスの「犯人当てパート」です。
 これは投票制であることが多いです。
 誰が誰に投票したかは、GMだけが把握します。オンセだったら秘匿チャットで送ってもらう感じ。
 GMが全員の得票数を見て、エンディングを決めるわけです。


エンディング


 マーダーミステリーのエンディングは大抵マルチエンディングになります。

 というのも、
・犯人当てに成功した
・犯人当てに失敗した
 という分岐が必ず発生するためです。
 一本道シナリオ化することはほぼないわけですね。

 GMは犯人の得票数に応じてエンディングを描写します。
 シナリオによってはフラグ回収率でエンディングが変化することもあるでしょう。ほんま楽しいね。

 エンディング後はPL同士で肩を叩き合い「めっちゃ楽しかったわ」「よくもやりやがったなお前」というじゃれ合いを交わします。
 我々の場合ははしゃぎ倒す成人一同をGMさんが温かい眼差しで見守ってくれました。



TRPGとマーダーミステリーの違い(所感)


 実際に体験してみて感じた差はこんな感じ。
・キャラクター作成の自由度
・目的の分かりやすさ
・対立関係の不透明さ
 これは「ここが違ったので嫌だった」という話ではなく、「ここが違ってて面白かった」という視点です。



キャラクター作成の自由度

TRPGの場合
 キャラクター名、ステータス、性格、背景などをPLが自分で決める
マーダーミステリーの場合
 キャラクター名、ある程度の性格、背景などは最初から決まっている
 なのでマーダーミステリーのほうが、より解釈して演じていくという感覚が強かったですね。楽しかった。



目的の分かりやすさ

◆TRPGの場合
 探索を進め、最終的に何をすべきか追求し、達成する。
◆マーダーミステリーの場合
 「殺人事件の真相を明かす」という目的を達成する。
 やることがシンプルなので、道に迷うことも少なくて分かりやすかったです。
 これは人狼ゲームに通じるところがあるかも。
 最初からゴールが設定されているので、TRPGよりも所要時間が少なくて済む感じがします。



対立関係の不透明さ

◆TRPGの場合
 多くの場合、協力しあう。全員で良いエンディングを目指すことが多い。
◆マーダーミステリーの場合
 対立が前提となっている。その上で協力できる相手を見極めたり、誘導したり。
 エンディングも対立前提となる(シナリオクリア成功者、失敗者に分かれる)。
 このへんも人狼っぽい。
 ただあの……ネタバレだから言えないんだけど……双子島神楽歌は本当によかったから……行ってくれよ……(突然のダイマ)。



個人的な感想


 め ち ゃ く ち ゃ 楽 し か っ た で す 。

 ものすごくいい刺激になりましたし、あの(ここから先すべてネタバレ)。
 みんな本当双子島神楽歌に行ってくれ……オタク特有の共有者を求める声です。



まとめ

・ギミック系でなく、推理寄りのTRPGが好きな人は向いてると思う
一度に出てくる文章はそこらへんのTRPGより多い。想像力はちょっといるかも
・調査や交渉は大変分かりやすい。密談のハラハラを味わってほしい
めっちゃ楽しかった
 いい話だ。



マーダーミステリーが遊べる場所


 私の検索技能がミソッカスすぎて調べきれてない可能性が高いです(すみません)。
(2019/11/07現在の情報だよ)
双子島神楽歌(はるかげ-かぐらうた)」
ヤノハのフタリ
・取り扱いシナリオ
妖狐の村
業火館殺人事件
 あと次回ゲームマーケット(2019秋・東京)でもマーダーミステリーの新作が続々出るっぽいですね。買い占めます。楽しみです。
 Web用マーダーミステリーを販売されているところもあるっぽいです。買い占めます。
 うちも出ます。よろしくおねがいします。


 た~~~のしかった~~~~。また行きます。またやります。好きだなマーダーミステリー。